温泉旅館を利用するのはほとんど登山のために限られているので、登山口に近い場所にあるなら旅館の質は問わない場合もあります。そのため稀には「うわ〜っ、とんでもないトコに泊まっちゃった」てな失敗もあります。その思い出を書き留めておきます。
お断りしておきますが、「二度と泊まりたくない温泉旅館」なんてセンセーショナルなタイトルですが、記事の意図はクレームのクチコミではなくて、そもそも以下の旅館は普通じゃなかなか泊まる人もいないでしょうから、旅館名・場所などのソースは明らかにしません。
■ 椎茸の宿
山梨県の鉱泉宿。山間を走る私鉄駅から20分以上歩いて(登っていくので結構キツイ)、探して探してようやく到着。この日の宿泊者は私たち夫婦だけでした。平日でもあったし疑問は持たなかったけど…。建物は民家風だけど2階に客室が数部屋あり、客室もお値段からしたらまぁこんなものでしょうという感じ。真冬で寒かったけど、個室用エアコン暖房と電気コタツで客室内は快適でした。で、お風呂は24時間入れますと言われたので、早速お風呂に温まりに行きました。浴室内を確かめないで入ったら、なんと浴槽にお湯が張っていなかった…。もう一度服を着て部屋に戻るのも面倒で、蛇口を捻ってお湯が溜まるまで待ちましたけど…寒かった(笑)
宿泊客が夫婦一組だけなので、女湯・男湯のどちらか一方の利用でで済ませてくださいってことなのかなとも思いましたが、夫が男湯に行ったら、やはりお湯が入ってなかったので女湯に入ったそうです。
で、お風呂から上がって客室に戻るのに調理場前を通ります。そこで聞こえてきたのが、宿の息子さんが母親を怒る声。どうも母親が電話による宿泊依頼を断ってしまい、それを息子が叱り付けていたみたいでした。お母さんは旅館営業をやる気がもうないのでしょうね、きっと。
食事は大広間で。広い部屋に石油ストーブひとつで寒いの何の。で、夕食のメインは鍋物でしたが、大皿の肉や野菜が隠れるほどに生椎茸がてんこ盛り。よく見れば和え物煮物、献立ほとんど全てに椎茸が使われていて、椎茸三昧の献立でした。朝食の湯豆腐にも椎茸、焼き椎茸もついてシイタケのオンパレード。そこで気がつきました。おそらく椎茸栽培農家が本業なのでしょう。
宿泊したのはもう10年以上前で、その後近隣に日帰り入浴センターが開業したらしいですし、この小さな旅館は間違いなくもう営業していないと思います。でも、あの肉厚の椎茸はとてもおいしかったです。
■ 片付けられない症候群の宿
この鉱泉宿は自家源泉の温泉が高アルカリ泉ということで、温泉マニアには多少知られています。検索すると結構日帰り入浴レポートがヒットするので、所在地の県名も伏せておきます。
宿から近い山の登山といっても軽いハイキングなので、登山のためここに泊まる人はおそらくいないでしょう。しかし我が家からは公共交通機関でのアクセスが不便なのと、やはり温泉に惹かれて泊まることにしました。
到着して玄関で声を掛けても誰も出てきません。あがりまちに私たち宛に「部屋は2階の一番奥です。勝手に上がってください」とのメモあり。階段上り口に古い山宿にお決まりの「猪の剥製」(笑)
ギシギシ音をたてる階段を上がって行ってびっくり。廊下が傾いて一部は板が抜けかかっておりました。うわ、なんだここ(^^;
客室の建具もなかなか古いのですが、昔の旅籠の建物そのままというのではなく、昭和中頃の普通の地方の客間という感じ。花が活けられているはずの床の間には、ホコリだらけの旧式の大型石油ファンヒーターが鎮座していました。山間ではまだまだ寒い春先で、暖房は床の間のじゃなく新しい石油ファンヒーターと電気コタツ。電気コタツの上のテーブル板が汚れてベタベタ。さすがの私たちも、とんでもない宿に来ちゃった…と思いました。愛想は悪くない60歳くらいの旅館の女主人登場。宿泊客は私たちだけとのこと。
襖で仕切られた隣室も客室なのですが、布団部屋になっていました。布団の重ね方、置き方が雑然。でも寝具のシーツや布団カバーは一応洗いたてでホッとしました。
旅館なのだからと、浴用タオルを持っていかなかったのは大失敗でした(私だけ)。浴衣はあるのにタオルが用意されていませんでした。で、1階の廊下の奥が経営者の自宅と繋がっているようなので、行ってドアをノックしました。返事がないのですが板のドアの隙間から中が覗けます。見てしまいました…。衣類や何やら足の踏み場もなく散らかった驚くべき部屋を。真ん中のコタツでおばあさんが寝てました。再三の声掛けに気がついて旅館の女主人が出てきたので、タオルがほしいと言うと、市町村合併で住所が変わったので業者に発注している最中で、古いものも1枚も残っていないそうな。困っていたらその辺に干してあるのを使ってくださいとのこと。なんかみんな雑巾みたいなんだけど…仕方ないから一番新しそうなのを借りました(^^;
お風呂に入るのが怖くなってきたけど勇気を出して入ってみると、脱衣所は雑然としていましたが浴室は勇気ナシでも入浴できるレベルでした。良かった良かった。ただし隅に雑然と置いてある使っているのか空っぽなのかわからない何本ものシャンプー容器、なんとかなりませんかねえ。浴槽に身を沈めるとお湯がヌルンヌルン。これは高アルカリ性の温泉だからで、汚れているからではありません。ちゃんと循環濾過装置がついて、見た目きれいなお湯でした。
トイレは共同。トイレに続く裏廊下には使わなくなったガラクタが積み上げられていました。花瓶や花入れの中には、その年のお正月に活けたと思われる松とドライフラワーと化した菊が乾山に刺さったまま。で、トイレはというと…あれだときっと、長い間掃除をしていません…。
夕食は部屋食。メインは陶板焼きでスーパーマーケットで買ってきたみたいな(…さっき慌てて買いに走ったんだな!)しゃぶしゃぶ用の豚肉薄切り5枚とキャベツのザク切り(私が切ったみたいな大まかないい加減さ!)などの野菜を焼いて、市販の焼肉のタレ(瓶のまま!)でいただきました。食器も洗い方が足らんなあ…まぁいいか(笑) 女主人のオバサンが配膳するとき、テーブルが汚れていると伝えました。するとオバサン、料理の上に埃避けのためにかけてきたキッチンペーパーでさっと拭いてオシマイ(笑)
夫が夕食後にもう一度お風呂に行ったのですが、すぐに部屋に戻ってきました。脱衣所に入ったら誰かが入浴中の様子。で、脱衣所の床に脱いだものが点々と落ちていた…まるで幼児が脱ぎ散らかしたように。ちょっと気味悪くなって戻ってきたそうです。オバサンが勤め人の息子さんがいると話していたので、入浴中の人物は彼でしょう。
チラッと覗いてしまった居室の様子と考え合わせると、この家の人たちは“片付けられない症候群”らしいです。旅館業なんかやってはいけないんじゃないか(笑)
一泊2食で7500円也。それより高けりゃ怒るところでしたが、この宿のありえないすごさに怒るより呆れてしまって、夫と顔を見合わせて苦笑いばかりしていたのでした。
結論を言うなら廃業寸前の旅館に泊まってはいけないです。
が、何故かふたつの思い出は、今となっては結構楽しい思い出になっているんですよねえ。
※関連記事
→料理がおいしかった温泉旅館
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→全国の温泉・入湯した数187湯!

片付いていない旅館ってありますよね。。
でもここまでひどいものは経験したことないです〜〜。。
小さな子供さんがいるオーナーの宿
明らかに子供に我慢させているのがわかると
なんだか胸が痛んだりもします。
ちらっと見えた子供専用の部屋の
すごいちらかりよう、、、夕飯時なのに
おかし食べていてお客さんを優先して。。
この方達も生活のために宿をやっているんだから、、
と思うようにはしていますが。。。
小さな子供さんがいるオーナーの宿の話…
旅館業に限らず八百屋さんでも食堂でも商店ならザラにある話なのでは?
夫婦共働きの家庭でもありうる状況。
それでも大体の子供は、親が空いている時間で目一杯愛情を掛けてくれれば
親の多忙を理解して育つんだと思うから
心配しなくて大丈夫だよ、きっと。
まんま私の子供の頃ですわ。
夜更かしも当たり前でしたしね。
Masakoさんが言われているように大丈夫ですよ。
想像を超える下品な日常ですが、それはそれで、たくましく育つものです。
椎茸の話は落語みたいですね。
「椎茸怖い」なんてね。
心配することなんて、なかったですね。
宿の場合は、こちらが遊びモードなので
申し訳ないなーとか、切ない気持ちに
なってしまいがちなんです。
確かに、一段落ついたら、エプロンのままで
子供と遊んでた。
両親が仕事している姿を身近で見られるのもいいですね。
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従業員のマナーが悪い宿、結構ありますねえ。
温泉が良かったりするとかえって気に障りますね。
私は宿を探して決めるとき、いちおう口コミ情報もチェックしてます。
でも感じ方も個人差があるので、一か八かも仕方ないかも。
原発の問題で地元のやくざが原発の雇用の側面を支えていたことが分かりましたが、その旅館バージョンです!
気を付けてください