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2006年04月08日

阿蘇の旅(4)黒川温泉

旅の初日に阿蘇高原線で乗ったのは九州横断特急だったが、この日は各駅停車でトコトコ阿蘇駅に向かった。天気がどんどん回復し青空に阿蘇山が映える。ギザギザの根子岳もくっきり。黒川温泉へ行く九州横断バス別府行きの発車まで40分ほどある。バスの待合所隣にある観光センターで時間を潰した(自由に使えるパソコン3台有り)。
バスは内牧温泉に寄り、阿蘇外輪山の山腹を登っていく。外輪山の最高峰である大観峰付近からの阿蘇谷を見下ろす景色が素晴らしい。

参考ページ→よかとこBY・大観峰

バスの窓からの景色を眺めていると、外輪山の地形が意外に複雑であることがよくわかる。外輪山から下るとくじゅう連山が近づいてきて、バスでは黒川温泉の由緒である伝説のガイドが流れ、そして黒川温泉に到着した。バス停まで宿泊する宿「新明館」が車で迎えに来てくれたが、歩いても15分ほどとのこと。

黒川温泉



温泉大好き人間としても、また自サイトで温泉情報を提供している者の端くれでもあるし、一度は黒川温泉に来てみたかった。超人気温泉地のベスト3(東北の乳頭温泉郷、九州の由布院温泉、黒川温泉)のうち、黒川温泉だけが未体験だった。東京から九州に度々来られないし、「日本秘湯を守る会」会員旅館がありスタンプがもらえるし、というわけで今回の山旅にプラスした。

黒川温泉オフィシャルサイト
黒川温泉 新明館
参考ページ→よかとこBY・黒川温泉

黒川温泉の温泉街は田の原川沿いの旅館が昔からの宿で、新しくできた旅館は谷の上へと広がっている。しかし温泉街としてはそれほど大きくない。宿泊した新明館は最古の温泉宿のひとつであり、経営者は現在の黒川温泉ブームの先鞭をつけた人物であるそうだ。
旅籠風の木造建築で、黒光りする廊下や民芸調のインテリアが良い雰囲気。ほとんどの部屋にトイレはなく共同なのは崖下の狭い立地であるためだろう。従業員に若者が多くキビキビ働いている。

新明館田の原川の対岸から岩戸風呂

大浴場は平凡。経営者が手掘りで造った洞窟風呂は面白いが、南紀勝浦温泉の「忘帰洞」を体験している私には何度も入りたいお風呂でもなかった。裏山の岩棚を利用した岩戸風呂(上の写真左:対岸から岩戸風呂)は混浴で、ついに入るチャンスがなかった。しかし女性専用露天風呂(朝の8時〜10時だけ男性専用)「風の湯」はいい。お風呂に続く石段脇にショウジョウバカマがひとつ咲いていたし、お風呂のすぐ脇の裏山の木立も清々しく、2週間先ならその斜面にカタクリが咲くのではと思われた。

ただ石段を上るのはお年寄りにはたいへんで、上りきれずに諦めて戻る年配の女性グループを見かけた。こじんまりした宿ばかりでおまけに山腹にあるため、崖上を利用して露天風呂が造られている宿が多い。せっかく来ても全ての露天風呂を利用できないお年寄りが気の毒である。

入湯手形浴衣掛けでお風呂巡り

黒川温泉といえば「入湯手形」である。ちょうど前日が入湯手形の企画20周年にあたり、ローカルニュースで取り上げていた。夕方4時にチェックインしたのでは3軒も入湯できそうにないが(有効期限6ヶ月)、せっかくだから購入して他の露天風呂にも入ってみることにした。チェックインの時にもらった旅館協同組合のパンフレットは黒川温泉全体の絵地図と、全旅館を露天風呂の写真入りで紹介している。入湯手形を首にかけ、このパンフレットを手にした人が往来している通りを同じようにして歩く。話しかけられて情報交換も。黒川温泉は宿が持つ源泉によっては泉質が若干異なっている。そこで露天風呂の雰囲気よりも泉質が明らかに違う、例えば白濁している湯を持つ旅館に人気が集まるようである。そいいう人気の宿に行ったら1時間待ちだとか、または断られた…とも聞いた。

結局入ったのは「ふもと旅館」の露天風呂。男性用は渓流沿いに、女性用は手すりにすがらないと上れないような急な石段を登った崖上にあり木立の中。始終ウグイスの鳴声がしていて気持ちがよかった。旅館は温泉街で全て共通の草履を使用していて、玄関で迷わない。

「山みず木」のこと
夕食後新明館の姉妹館「山みず木」の露天風呂入浴の送迎があるというのでロビーに行ったら、参加者は私たちだけだった。山みず木は黒川中心部から少し山の上にある山間の一軒宿である。広いロビーに入ったとたん、いい宿であることが分かった。そして経営者が勧める山みず木の露天風呂は、本当に素晴らしくて大満足したのである。女性用の露天風呂はふたつあり、先ず上の「森の湯」へ。19時半過ぎという時間と日曜日で宿泊が満室ではなかったのか誰もいなかった。大きな露天風呂(山みず木のHPの写真で見るより実際は大きい感じ)の周囲は森林で、一切の目隠しの囲いはない。開放感たっぷり。星が出ていないのが残念。一人で怖いくらいだったが、静かな時間と気持ちが良い温泉に身を任せた。早朝に入浴したら最高だろう。下の「木もれびの湯」は田の原川が手を伸ばせば届きそうな傍にある。温泉街では田の原川はただの川だが、ここの田の原川は清流である。そして少し離れた目の先には、ライトアップされた二段の滝さえ望める。またこのふたつの露天風呂を結ぶ「裸の散歩道」があり、まさに女性優位の温泉旅館である。混浴の露天風呂「幽谷の湯」に入った夫は1時間近くの長湯だった。「幽谷の湯」はかなり大きかったそうで、やはり独り占めだったそうである。私たち夫婦は登山しての温泉という旅のスタイルなので、自然の中にあり自然と一体になれる温泉宿が好みなのだ。今度はこの宿が泊まってみたい憧れの宿のひとつになった。
送迎してくれた若い従業員(東京出身だとか)によれば、昼間は入浴のみの客でかなり混むとか。

山みず木

翌朝バスの時間に合わせて送ってもらう前に、40分ほど温泉街を歩いた。午前10時頃の温泉街が夕方の散策の時と違っていたのは、観光客がやたらと多いことだった。ツーリストのワッペンをつけた団体さんがゾロゾロ歩いている。彼らは入浴もしないで温泉街の散策だけなのだろうか?

公共浴場「穴湯」筑後川源流

川をさかのぼって歩くと川辺に建つ公共の湯小屋を発見。絵地図で見ると他にもあるようだ。筑後川源流の道標を見つけて行ってみた。確かに清水がちょろちょろしみ出ているが、もう少しキレイにしてほしい感じ。帰宅してから調べると筑後川源流というのは他にもあちこちにあり、そもそも田の原川は筑後川の源流を集めた川であるらしい。

温泉街の並びには旅館に挟まって、特産の農産物などを並べた土産物店、スナック、洒落た甘味処、いかにも女性客向けのイタリアンレストラン、フットマッサージの店などがあり、ちょっと雑多な印象である。乗用車1台がやっと通れる道を散策していると、後ろから車がやってくるので落ち着いて歩けない。すれ違い不可能なので一方通行になっているらしいが、せめて中心部だけでも車の通行規制をしたほうがよいのではと思った。

しかし中心を少し外れると農家があり、棚田の石垣に野の草花(タンポポ、ムラサキケマン、キランソウなど)が咲き乱れていてのどかな散策を楽しめた。時間があって足を伸ばしたり小道を行けば、黒川温泉の魅力をもっと楽しめたのかもしれない。

黒川温泉を去る前に、なにやらものすごく混んでいる洋菓子店「パティスリー麓」に入って若干のお土産を購入。オマケにバスの中で食べようと思い「麓オリジナルシュークリーム」を買った。トッピングのそば粉とパリパリの皮に滑らかなカスタードクリームが絶妙だった(^^♪

パティスリー麓


黒川温泉について考える
さて、人気の黒川温泉だが…。温泉街は群馬の伊香保温泉や山形の銀山温泉のように「温泉情緒」たっぷりというわけでもない。環境に配慮し、全旅館においてお風呂には石鹸と石鹸シャンプーしか置かない取り組みをしているが、田の原川の流れも決して清流とは言えない。散策しても狭い道への車の通行が腹立たしい。ツアー客も来て人が多く、夜の宿での時間以外は何かしら落ち着かない。それなのにどうしてこんなに人気があるのだろうかと考えてしまった。

確かに入湯手形の企画は楽しい。それぞれに凝った露天風呂を気軽に楽しめる。旅館側も空いている昼間の露天風呂で稼げる。しかし一泊だけで来てのんびり過ごしたい人には、露天風呂巡りは忙しい。マイカーで来て"はしご湯"を楽しむのが一番よいのかもしれない。

黒川温泉にリピーターが多いのか否かは知らないが、私自身は「山みず木」以外の黒川温泉は、もう来なくていい感じである。温泉地と温泉旅館のタイプの好みは人それぞれだから、黒川温泉が大のお気に入りになる人もいるだろう。ただ「黒川温泉」というネームバリューだけに憧れて来るのだったら、よく調べ、そして考えたほうがよい。温泉街を散策するにも坂道が多いし、露天風呂へは急な石段を上らされることが多いので、足が弱くなったお年寄りにはつらいということ。温泉街も期待するほどの特色はないこと。狭い温泉街に観光客が多いこと。湯量が豊富で「掛け流し」を謳っていても、90℃以上の源泉では加水していないかどうか(特に夏場)疑わしい宿もあるかもしれないなど…を。日本には有名ではないが素晴らしい温泉地が山ほどある。

決して黒川温泉が良くなかったということではない。新明館にしても都会の若者がわざわざ就職して生き生きとして働いている地方の旅館というのは、経営者の営業ポリシーが明快だという証拠だし、私の経験上気持ちが良いサービスを受けられる良い旅館である。何よりも黒川温泉の温泉自体は素晴らしい。

黒川温泉としては、そろそろ自然環境の保護にもっと力を注いだほうがよいのではないか。筑後川源流だって手ですくって飲めるくらいにしてほしい。そもそも温泉は自然の恵みなのだから。

登山の山行記録はホームページにあります。
阿蘇山/高岳・中岳・烏帽子岳
タグ:温泉

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posted by Masako at 16:37 | Comment(9) | TrackBack(1) | 旅・山旅・温泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
名前ばかりが前に出てしまっている温泉は多々ありますよね〜〜。
レポを読んで様子が目に浮かんできました...
同感です..
Posted by うめ at 2006年04月09日 07:42
うめちゃん、読んでくれてありがとう。
雑誌やテレビの温泉レポ番組で紹介すると、どっと行くからねぇ…日本人は(笑)
でももう一度行きたくなるような良い温泉地や旅館は、だんだん増えてきていると思います。
Posted by Masako at 2006年04月09日 15:25
黒川温泉、一度は行ってみたいみたい気にさせられます
やっぱり人気に煽られちゃうのかな・・・
ツアー客の数と雰囲気は反比例するから人気って難しいね

でも、森林の中の囲いのない温泉は入ってみたいものです
Posted by えみ丸 at 2006年04月10日 13:56
えみ丸さん
黒川温泉は人気と宿泊料金が比例(シフト)しないところはいい事です。
山みず木の囲いのない露天は、送迎の従業員の話だと以前は盗撮が多かったそうです。今は居ないと言ってたけど…(^^;
Posted by Masako at 2006年04月10日 17:14
三大秘湯の最後の1つを制覇ですね。
山みず木のお風呂がとっても素敵。
私もいつか入ってみたいわ。
お値段もいいですね^^;;;
露天だけでなくて、内湯もいい雰囲気。

黒川温泉に対するコメントが
Masakoさんの気持ちがとてもよくわかりました。
ラーメン屋も同じかな、、人気が出ると〜〜〜。。。
Posted by いく@しずおか at 2006年04月10日 19:14
山みず木のほうは若い人にはちょっとお高いですね(^^;
新明館は一番安い部屋しか空いていなくて、1万3千円で泊まりました。

私も黒川温泉には思い入れもあったものですから
辛口になっても思ったことを書きたくて。
ダテに全国の秘湯巡りをしているわけじゃなく、温泉についての本を読んだりしますから。
Posted by Masako at 2006年04月10日 22:14
黒川温泉、やはり一度は行ってみたいけど。
露天風呂好きとしては、やはり心をそそられる。裸の散歩道かあ・・よいな。

ここは、やはり一度は泊まりたい。できれば、山みずき・・でも、もろもろの優先順位から行くと、まだまだ先かなあ。
西日本の住人になってからってことかしらん。
★追伸★お返事いりませんよ。手のことがあるから・・
Posted by ぴとこ at 2006年04月14日 19:03
とてもよくまとまっていて、黒川温泉のことがわかった気がしました。
温泉好きの観点からよくまとめられているなあ・・と。特にお年寄りの視点から書かれている部分は、今後の高齢化社会では必須ですね。

若い会社の後輩は、マイカーできて、温泉はしごをすると言っておりましたが、確かに泊まったという話ではなかったような・・・。

手の方、お大事になさってください。
Posted by MINMIN at 2006年04月14日 20:17
ぴとこさん、お忙しそうなのに読んでくださってありがとう。
あらら、西日本、本決まりなのですか…この件はまたあらためて。

MINMINさん
それが頑張って露天風呂まで上る年寄りグループもいるんですよ。足腰を使わないとねーとか、これでご飯が美味しくなるわなんてお喋りしてました。
生き生きしていたおばあちゃんグループでした。見習いたいです。
ご心配ありがとう。山での転倒じゃなくてよかった(^^;
Posted by Masako at 2006年04月14日 22:32
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