ノーザンライツ
アラスカに移り住んで自然と野生動物の写真撮影と著作活動をした、カメラマン星野道夫の遺作。彼のアラスカの友人たちとの交流を軸にして、彼らと共にアラスカに暮らす生活者としての視点で、アラスカの未来を見つめる著者の思いが伝わってくる作品だった。
第二次大戦後、ジニーとシリアという2人の女性パイロットがオンボロ飛行機でアラスカに渡るところから物語は始まる。この場面での読者をわくわくさせる筆の運びは、著者がカメラマンとしてだけではなく、著述者としての才能にも溢れていたことを教えてくれる。フロンティア精神に富んだ2人のアメリカ女性は、美しいアラスカの自然を愛してマッキンレー山麓に「キャンプ・デナリ」を造り、核実験場化計画や油田開発への反対運動を通して自然保護活動家になっていく。星野は2人からアラスカの戦後史を生きた彼女たち自身の半生を聞きながら、また先住民族の友やベトナム帰還兵の友との交流を通して、アラスカの“伝統”の歴史、異文化と開発に翻弄される現代、“かすかな希望”が見える未来を考え続ける…。(“”内は著者の表現)
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